製品紹介

「ケアコラボ」で介護はもっとクリエイティブに!”利用者”中心の記録システム

介護記録に新しい風を運ぶ介護記録システム「ケアコラボ」をご存知ですか?
ICTをつかって介護記録やその共有を効率化するだけでなく、「よりクリエイティブなケアの実現」に向けて毎週アップデートされ続けている「ケアコラボ」。

これまでの介護記録システムが「サービス」中心であったとするなら、ケアコラボは「利用者」中心である点が最大の特徴です。

まるでFacebookのようなタイムライン表示や「いいね」機能、スマホ対応で家族ともシェアできる機能ーーーこうした革新的なシステムは、販売開始から徐々に口コミで注目を集めてきました。

「ケアコラボ株式会社」では、介護事業所から問い合わせが入ったら、まずテレビ電話用のヘッドセットを無料で送るのだとか。その背景には、「介護業界のICT化を促進させたい」という熱い想いがあります。

これまでと違うまったく新しいケア記録システム「ケアコラボ」の魅力と、介護のICT化のこれからについて、同社 代表取締役の藤原士朗氏と、営業担当の岡部拓哉氏に話を聞いてきました。

本記事は別メディアの運営停止に伴い、転載されたものです。
2018年4月11日の取材記事となり、現在とは一部情報が異なる場合がございます。

現場を半年見学してわかった介護記録の課題

ー「ケアコラボ」開発にあたって、約半年間、介護記録や介護業界について勉強されたと伺いました。そこで気づいた介護記録の問題点や課題について教えてください。

ケアコラボは、ある事業所様からの依頼で開発が始まりました。開発を始める前に、介護事業所を見学して、介護記録の課題を徹底的に洗い出しました。

現在行われている介護記録は、主に「紙」での記録と「介護記録ソフト」での記録の2つに分かれます。紙での記録にも介護記録ソフトでの記録にもそれぞれのよさはありますが、課題や問題点も多くありました。それぞれご説明します。

記録という資産を活用しづらい紙の記録

介護業界では、多くの事業所がいまだに紙を使って介護記録を行っています。
紙のよいところは、記録速度がPCなどのデジタルデバイスに比べて早くできるところ、自由度が高いところです。
じつは「記録する」という点だけ見れば、紙のほうがPCなどに比べてはるかに利便性が高いのです。

しかし、紙には「情報を活用しづらい」という大きな問題点があります。
「Aさんの先月のトラブル、どうなったのかな」と思っても、情報をさかのぼって調べるのに時間がかかりますし、情報同士をひもづけたり分析したりするのも一苦労ですよね。

介護記録は、現場の改善や改革に活用できる、いわば資産のようなもの。ただ眠らせておくにはあまりにもったいない財産です。
紙の最大の課題は、そうした資産を「活用しづらい」という点にありました。

請求ソフトと記録がむすびつくことの弊害

「紙では情報を活用できない」という課題を解消するためには、情報を電子データ化して、検索や分析をしやすくする必要があります。

介護記録をPCなどで管理する介護記録ソフトはすでに存在しましたが、調べていくうちに、既存の介護記録ソフトでは解決できない3つの問題点が浮かび上がってきました。

1つめの問題点は、業務を軸にシステムが構成されていることです。

既存の介護記録ソフトの多くは、介護保険請求をメインとしているため、ご利用者様ではなく、業務を軸とした構成になっています。

そのため、記録する際も、「業務内容」→「ご利用者の名前」の順で選択する流れになっていることが多いです。たとえば、Aさんのバイタルを記録したいときは、まずメニューから「バイタル」を選び、そのあとに「Aさん」を選択する、という感じですね。

しかし、「Aさん、先週も熱を出していたな」と思ったとき、「Aさん」→「バイタル」の順で情報をたどっていくほうが自然ですよね。つまり、記録を活用するという視点で考えると、業務ではなく「人」を中心に情報が参照できるほうが使いやすいのです。

また、サービスを実施したという介護記録は介護保険請求業務に使われるため、既存の介護記録ソフトでは提供サービスごとに介護記録がひもづけられてしまうという弱点もありました。

「Aさんはデイでこんなサービスを受けたみたいだけど、訪問介護ではどうなのだろう?」と思っても、サービスごとにバラバラに記録されているかぎり、Aさんのデータを探すのは困難ですよね。

このように介護記録と請求業務が結びついていると、利用者様の全体像を把握するのが難しくなってしまうのです。

2つめの問題点は、仕組み上、こまめなバージョンアップがしづらいことです。

介護記録システムは、施設の体制や業務改善に合わせて、柔軟に変化していくことが求められます。

しかし、既存システムの多くは、施設内にサーバーを立てて、そこにシステムをインストールする仕組みがとられており、これではこまめなバージョンアップができません。

数年に一度のバージョンアップですむ介護保険請求システムであれば問題ありませんが、現場の変化についていかなくてはいけない介護記録システムは、サーバ設置型とは別の仕組みをとる必要があるのです。

3つめの問題点は、スマートフォンに対応していないという点です。

タブレットに対応しているソフトはありますが、意外とかさばるし持って移動するのも大変です。現場のICT化を進めるには、やはり扱いに慣れていて手軽なスマートフォンが一番だと感じました。

スマホであれば、たとえば利用者様が食事をしているすぐそばで「よく食べている」等と記録することもできますよね。「帰ってから記録する」という手間が減り、「今、ここで記録する」ことができるのです。

またスマホなら一人1台持てるので、介護職員全員がそれぞれの個人アカウントを持つということもできるでしょう。

クリエイティブなケアのための「記録」

さらにもう1点、我々が開発の際に心がけたことがあります。それは、「クリエイティブなケアをするための記録ソフト」にすることです。

「ケアコラボ」の開発依頼をしてくださった介護事業者様から学んだことですが、「ケア」って本来、非常にクリエイティブな仕事なんですよね。
利用者様の歩んできた人生や今の気持ち、人となりに沿ったケアは、とても創造的なのだと教えてもらいました。

しかし、介護請求のための情報では、クリエイティブなケアに必要な情報がなかなか集まりません。
介護請求に必要な情報を「実績」、クリエイティブなケアのための情報を「記録」と分けて考えたとき、私たちは「記録」を集め、活用するお手伝いがしたいと思いました。

「実績」と違い、「記録」はあいまいなものであるかもしれません。
「何時何分に食事介助した」だけではなく、「栗まんじゅうをあげたら笑顔になった」というのも「記録」として残せるように、これまでとはまったく違った視点から「ケアコラボ」を開発したのです。

ケアコラボでできる記録とシェア

ーケアコラボでできることを教えてください。

すでに申し上げたとおり、ケアコラボはケア記録に特化した介護記録システムです。
請求とは切り分けているため、「クリエイティブなケア」のための記録が可能である点が特徴です。

ケア記録・バイタル記録

既存のシステムでは、記録がサービスごとにひもづいていることがほとんどですが、ケアコラボでは「利用者」様ごとに記録が一元化されています。
利用者様ごとにタイムライン(時系列)が存在して、そこにスタッフやご家族が「記録」を投稿していくというスタイルです。

まるでフェイスブックのようなタイムライン画面には、写真や「いいね!」が飛び交う

 

ケア記録は、テキストはもちろん写真や動画、PDFでも残せますし、スマホでどこからでも記録・参照が可能です。

体温や血圧、食事、排せつ時間などのバイタル情報も記録できるだけでなく、それらを自動でグラフに変換することもできます。

こうした記録は、申し送りなどに日常的に活用いただけます。導入していただいたある法人様からは、「朝の申し送りにかかる時間が大幅に短縮した」と好評をいただきました。

ケアコラボ導入前の申し送りは、

  1. リーダー同士が集まって、口頭で報告
  2. 各リーダーがメモをとる
  3. リーダーは現場に戻り、メモを元にメンバーに口頭で報告
  4. 各メンバーがメモをとる

という流れで行っていたそうです。

ところが、ケアコラボを導入してからは、「昨日の様子はケアコラボを参照してください」と伝えるだけですむことが多くなったため、口頭での報告やメモをとる時間が削減されたといいます。

私も申し送りの現場に立ち会ったことがありますが、本当に5分程度で終わっていましたね。それでも、必要な情報はリーダー、メンバー全員に共有されていました。

利用者の半生を記録する人生録

ケアコラボの特徴的な機能として「人生録」機能があります。
これは、利用者様の半生を年代ごとに記録できる機能で、これを通して会話のきっかけを探したり、個別性の高いケアに繋げたりするのにお使いいただいています。

家族と介護記録がシェアできる

もうひとつの特徴として、利用者様のご家族もケアコラボに参加いただける共有機能があります。

あるスタッフの方に聞いたのですが、ご家族にも見ていただいていると思うと、記録する内容も変わってくるそうです。
たとえば、「淡々とした記録だけでなく笑顔の写真を載せよう」とか、「ご家族の方にもわかりやすい言葉で書こう」といった意識の変化が起こっているとのことでした。

事務所に徹底的に寄り添う導入支援

ーケア記録システム「ケアコラボ」を導入する介護事業所の8~9割が、これまで紙で記録していた事業所だそうですね。そうした事業所に対して、導入の際に気をつけていることはありますか?

弊社では、お問い合わせいただいたら翌日には介護事業所様へテレビ電話用のヘッドセットが届くように手配しています。
もちろん、ヘッドセットは無料でプレゼントしており、検討の結果「ケアコラボを導入しない」となっても、ヘッドセットはそのまま使っていただいています。

テレビ電話からはじまるICT化

なぜ無料でヘッドセットをプレゼントしているかというと、テレビ電話ができる環境をあらかじめ用意しておけば、事業所がたとえ遠方であっても、疑問やトラブルにテレビ電話で我々がすぐ対応できるからです。
こちらが徹底的に寄り添えば、「ケアコラボ」をはじめとするシステムやICT機器を使いこなすのはそれほど難しいことではありません。

実際に、Skypeの設定からいっしょにやってきたスタッフの方が、いつの間にか施設内でケアコラボのキーパーソンになっている、なんてこともよくあります。
多くの方は触れたことがないだけで、やってみればできるようになるんです。

仮にケアコラボを導入しないとしても、「テレビ電話」というICTに触れていただくことで、「ICTって便利なんだな、怖くないんだな」と知ってもらえればいいなとも思っています。

テレビ電話だからこそできること

ーICTへの苦手意識にも配慮しているんですね。ふだんもテレビ電話を使ってサポートすることが多いですか?

関東圏内の場合は訪問することもありますが、ほとんどがテレビ電話ですね。テレビ電話を使って、まずは課題を洗い出します。
その際「紙よりも早く記録したい」とか「とにかく業務を効率化したい」とおっしゃる場合は、「ケアコラボでないほうがいいかもしれませんね」というお話をすることもあります。
ケアコラボの魅力は、紙よりも早く記録できるようにするところにあるわけではないからです。

またテレビ電話をつかって、毎月、全国の導入法人様と意見交換会も行っています。
各地の法人様が集まるなんて、普通であればなかなかできないことですよね。
でもテレビ電話であれば気軽にできます。

意見交換会の様子。神奈川・山口・宮城・東京(ケアコラボ社)の4拠点が一堂に会する。左上:松友会、左下:周陽福祉会、右側:ライフの学校(ともに社会福祉法人)

 

気軽にできれば続けられるし、続けられれば製品がよくなる。そして、製品がよくなれば、現場が変わっていくと思っています。

介護業界のICT化を支援したい

ーテレビ電話の件もそうですが、「ケアコラボ」はもちろん、介護業界にICTを根付かせたいという思いが感じられます。

そのとおりです。製品にとどまらず、介護業界のICT化支援をしていきたいと考えています。

2018年2月に北海道のICT活用に関する調査結果が発表されたのですが、その調査によれば、ICT機器を活用している事業所は全体の2.1%で、「今後、導入を検討している」と回答した事業所は14.6%にとどまることがわかっています。(※)

※北海道ホームヘルプ協議会(2018年2月)「平成29年度ホームヘルプサービス ICT 機器活用実態調査報告書」(http://www.do-homehelp.jp/pdf/201804ict.pdf)より

 

つまり、ほとんどの事業所がICTを活用しておらず、これから活用したいと考えてもいないということですね。

我々は、テレビ電話を使った徹底的なサポートスタイルはもちろん、現場の声を吸い上げて週単位でアップデートしながら製品に反映させていく開発スタイルをとおして、ICT化の成功体験を積んでいただき、苦手意識をなくしていければと思っています。

ー今後の展開について教えてください。

「ケアコラボ」では、週単位で行っているアップデートは今後も続けていきます。

「ケアコラボ」などの製品展開以外にも、ICTを学ぶ介護スタッフ同士のネットワークづくりのお手伝いもしていく予定です。
施設に一人でもICTに詳しい人がいれば、ICT化促進につながります。
いずれは介護事業者様が主体的に我々のようなメーカーを選ぶことができるよう、さまざまな支援をしていきます。

ICTが介護現場でも少しずつ普及していくために、今後も日々の改善と現場に寄り添ったサポートを続けていきます。

<参考資料>
北海道ホームヘルプ協議会(2018年2月)「平成29年度ホームヘルプサービス ICT 機器活用実態調査報告書」(http://www.do-homehelp.jp/pdf/201804ict.pdf

ABOUT ME
岡部 拓哉
福祉の現場ICT活用協議会 理事 全国各地に点在する福祉事業所の情報格差を無くしたいと思い、協議会を発足する。 オンラインのカンファレンスや展示会を通して、福祉業界へICTについての情報を継続的に提供している。意外と理解されていないICTという言葉の定義や、すぐに実践できるツールなどの紹介をします。 ケアコラボのマーケティングマネージャーを経験し、現在は株式会社グロースハックラボの代表取締役。