福祉・介護の現場での活用が進むICT。
「名前を聞いたことはあるけど、実はどういったものかくわしくは分からない…」
こんな印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事ではなるべく分かりやすく、ICTの意味や価値を解説いたします。
ICTの活用を検討中の方はぜひともご覧ください。
ICTとは?
「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」と訳されることが多いですが、明確な定義はありません。
当協議会では、「コミュニケーションを含む情報通信技術」をICTとして取り扱います。
ICTは言葉の通りコミュニケーションを含むため、情報を共有・伝達する技術のことを指します。
ICTを利用する目的は「情報共有の効率化」です。
情報を共有する・見直す・探すといった業務を効率化することが重要となります。
具体的な活用事例としては、テレビ会議やチャット、介護記録を職員やご家族へ共有するシステムなどのことを指します。
ICTの活用と言うと大げさに聞こえますが、すでに何らかの形でICTを利用している方が大半かと思います。
似ている言葉
ICTと似ている言葉はいくつかあり混同してしまいがちです。
違いを理解しておくことで正しい判断ができるようになります。
IT
「Information and Technology」の略称で、「情報技術」を意味します。
ICTと同様に明確な定義はなく、実はICTとの違いはあいまいです。
類義語として、OA化(Office Automation)があります。
当協議会では、「コミュニケーションを含まない単なる業務効率化、自動化」はITとして取り扱います。
たとえば、介護報酬請求をパソコン入力にして業務を効率化するといったことはIT化です。
IoT
「Internet on Things」の略称で「インターネットにつながったモノ」自体を指します。
自動で情報を取得して、インターネットなどを経由して通知する見守りセンサーなどがIoTにあたります。
センサーが人に代わって利用者の状況を把握し、業務の効率化や利用者のプライバシーを配慮することが目的となります。
※正確に言うとBluetoothはインターネットではありませんが、広義でIoTに含まれるようです
AI
「Artificial Intelligence」の略称で、広義の人工知能のことを指します。
スマホのキーボードや音声入力などで使われています。
先進的なイメージがありますが、実は身近なところですでに活用されています。
ICT化のメリット
先ほど解説したように、紙の情報をデジタルに置き換えて業務効率を図るのはIT化です。
さらにその情報を相手に共有するところまで含めたものがICT化となります。
情報を利用してコミュニケーションを行うためには、最新の情報を関係者全員で閲覧・編集する必要があります。
メールのように相手に伝えるだけでは、情報共有とは言えず、情報伝達となります。
最新の情報を全員で共有するためには、クラウドとスマホの活用が必須とも言えます。
福祉・介護の現場では、最新の情報を共有することで利用者のケアの向上を図ることができます。
日々変わる利用者の状況などをリアルタイムで共有することで、よりよいケアができるでしょう。
またテレビ会議を活用すれば、遠方で対面では参加できなかった方が参加することもできます。
ICT化は業務の効率化だけでなく、「できなかったことができるようになる」という効果をもたらします。
また、最新の情報を共有するためにはクラウド化は必須とも言えるでしょう。
ICTで効率化すべき業務は、入力の作業ではなく、入力した情報を相手に共有することです。
一度入力した情報をわざわざ相手に伝えることなく、そこを見れば最新の情報が共有できるという状態をつくることが大切です。
福祉の現場ですぐに活用できる製品の紹介
福祉の現場において、すぐにICTを活用できる製品を紹介します。
無料で利用・お試しできる製品も多いため、ぜひ一度試してみることをおすすめします。
※2022/01/12現在の情報です。最新の情報は各企業のページからご覧ください。
介護サプリ(ケア記録アプリ)
iPadやパソコンから利用できます。
手書き入力や分かりやすい画面設計が特徴で、帳票も自動で作成してくれます。
最大1ヶ月間の無料お試しができ、初期費用は無料です。
ケア樹(クラウド型介護ソフト)
請求システムをメインに開発し、iPadから利用できる記録システムも開発しています。
クラウドで運用されているので、法改正後のアップデートもスムーズで安価に利用できます。
2ヶ月間の無料体験があります。
ケアコラボ(ケア記録システム)
パソコン、タブレットだけでなく、スマホからも利用できます。
記録は事業所内のスタッフだけでなく、ご家族にも共有でき、コメントで感謝の言葉も届きます。
1週間の間、無料ですべての機能を試すことができます。
ドクターメイト(日中医療相談)
介護施設で医師に相談したいことがあった時、写真と内容をチャットで送ると回答が届きます。
通院の準備も必要なく、早い段階で医師へ相談できるので重症化の予防につながります。
日中医療相談だけでなく、オンコール代行のサービスも提供しています。
Buddycom(ライブコミュニケーションプラットフォーム)
スマホやタブレットのアプリを通じてインカムが利用できます。
音声だけでなく映像や文字も共有でき、見守りシステムとも連携しています。
10ユーザーまで、1ヶ月の間無料でお試しができます。
BONX WORK(音声コミュニケーションプラットフォーム)
スマホのアプリを経由してインカムが利用できます。
アプリだけでなく、ヘッドセットも開発していることが特徴。
音声だけを拾って、自動でアプリを起動して発話してくれる機能などがあります。
MOT/PHONE(次世代型ビジネスフォン)
固定電話だけでなく、スマホやパソコンから会社番号での発話を可能にするアプリ。
一般的なビジネスフォンに比べ、導入・通信・運用のコストを低くすることができます。
ナースコールや館内スピーカーとも連携可能。
LINE WORKS(ビジネスチャット)
ビジネス版のLINE。チャット以外にも掲示板やカレンダーなどグループウェアの機能もあります。
事業所内だけでなく、病院など外部関係者ともかんたんに情報共有できます。
一部機能が制限された無料のプランがあります。
まとめ
ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、情報を伝達する技術のことを指します。
特に福祉業界ではITと混同されているケースが多いですが、情報を使ってコミュニケーションを行うことがICTの本質です。
クラウドで利用しやすいサービスが増えているため、以前と比べてICTは活用しやすい環境が揃ってきています。
一気にまとめて導入すると進まないので、まずは一部の事業所など範囲を絞り、徐々にICTを活用してみてください!