ICT化の取り組み

業務効率化を叶えるICTツール。NPO法人タダカヨが「LINE WORKS」をオススメする理由とは?

業務効率が求められる昨今、介護・福祉業界でも業務改善が重要視されつつあります。
居宅の業務においても時間を有効活用しケアへの時間を増やすため、介護ソフトや文書管理ソフトなど、ICTを導入する施設も増えています。
中には無料のICTツールも様々なものがありますが、今回は、ビジネス版LINE「LINE WORKS(ラインワークス)」に注目しました。

お話をお聞きしたのは、介護現場で役立つ無料ツールを発信しているNPO法人 タダカヨの山本英也さんです。
山本さんが「無料ITツールの中でも始めやすいツールです」と話すLINE WORKSのサービス内容について、特長のみならず、ケアマネに特化した活用方法についても紹介していただきました。

NPO法人 タダカヨ
「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」というビジョンのもと、介護業界のIT活用を支援するNPO法人。法人名は「タダでカイゴをヨくしよう!」の頭文字から命名。
介護×無料ITツールの情報を日々提供する。

山本 英也さん
NPO法人 タダカヨ 理事兼、居宅介護支援事業所の管理者。
居宅介護支援事業所で10年以上、特別養護老人ホームに5年勤務。主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士でもあり、日々無料で使える介護ITツールを活用、研究を続ける。
特に介護ICTと科学的介護の知見が広く、SNSやブログにて情報を発信中。

ーまずはタダカヨの活動内容を教えてください

タダカヨは「ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」というビジョンのもと、介護業界のIT活用を支援しているNPO法人です。
私は、元々ITが好きで、自分が現場の効率化につながると感じた無料のITツールをSNSで紹介していたところ、理事長からお声がけいただき、タダカヨに参加しました。

タダカヨでは、介護従事者向けに「タダスク」、「タダレク」、「タダサポ」という3つのメインサービスを、すべて無料で提供しています。

「タダスク」は、オンラインPCスクールで、月に25回ほぼ毎日開催しています。介護職経験者の16名が講師を担当しており、LINE WORKSをはじめとする業務に役立つ無料のITツールの使い方を教えています。
申込数は1ヶ月で1,000名を超えており、「何回も参加している」、「業務の効率化が徐々にできました」などの声が届いており好評です。

「タダレク」はオンラインレクリエーションで、毎月開催しています。
6月には女優の八代亜紀さんを迎えZoomを利用し開催したところ、全国のデイサービスや施設から約10万人の参加がありました。
現場の方に楽しんでもらいながらZoomというツールを覚えていただけたのが良かったですね。

「タダサポ」はITのオンラインサポートです。お問い合わせいただいたITに関する相談に対して、その分野を得意とする講師が約60分間対応します。
全国各地の介護支援専門員協会から相談いただき、ケアマネ向けの外部研修を実施したこともあります。

ー山本さんが所属する居宅介護支援事業所でのLINE WORKSの活用方法について具体的に教えてください!

LINE WORKSはLINEのように使えるチャットツールです。私たちケアマネの業務をサポートするツールとして使っています。

まず、職員同士の連絡には、チャットが使えるトーク機能を使っています。
トークを活用することによって、紙の伝言メモがいらなくなり、履歴も残るので言った言わない問題も解決できるようになります。
またカレンダー機能も便利です。
個人のOutlookを使っていました頃は、 職員個人の予定が分からないということがありましたが、現在は、カレンダーで職員の予定が共有できるようになり、チームワークも良くなっていると感じます。

さらに、カレンダーの予定には、地図や研修で使うPDFのファイルを添付することもできます。
訪問記録を予定のメモに訪問後すぐに記入すれば、記憶が鮮明なうちに記録することもできます。事業所に戻ったら介護ソフトにコピー&ペーストするだけなので、時間を効率的に使うことができます。

ートークとカレンダーは今まで使ってきたものを置き換えるだけなので、手軽ですね。

隙間時間を有効に使うことができるのでオススメですね。
その他にも、アドレス帳機能で、他事業所の連絡先の情報を管理・共有しています。
担当者の情報が変わったときも気がついた人が更新すれば、すべての人に更新内容が反映されるので常に最新の状態を維持できます。名刺をファイリングするよりずっと早く管理できますよ。
新しく入ってきた職員も、住所、電話番号、事業所の担当者などの情報を集めることなく、初日から全ての連絡先を使える利点もありますね。

ー名刺交換の機会が多いケアマネにとってLINE WORKSで名刺も管理できるのは便利ですね。

名刺をスキャンすれば自動でデータ化できますし、市町村で事業所のデータをエクセルで配布していれば、CSVで一括インポートするなどデータの入力もできます。

ーそのほかに便利な機能はありますか?

タスク機能もよく活用しています。紙や手帳にバラバラで記入していたやることを、タスクに全て入れておきます。終わったらチェックを付けられるので、やり忘れてしまった!ということが防げます。
その他にも、掲示板機能も使っています。様々な情報を集約して一箇所にまとめています。
マニュアルなどバラバラに管理されていた情報を掲示板にまとめることで、ファイルをいちいち探しに行く手間を省くことができます。

ーズバリ、「LINE WORKS」の推しポイントはどこでしょう!?

なんといっても使いやすさです。それとLINEはみんながすでに使っているものなので、受け入れられやすいですね。
他のサービスも使ったことがありますが玄人向けだと感じました。難しい設定があるものや、自分用にカスタマイズした後、他の人ができなくなるというリスクもありました。LINE WORKSであればITが不得意な方でも使うことができますし、サポート体制もいいですね。分かりやすく丁寧に説明してくれる安心感があります。

無料で始められるので法人内で許可がとりやすい点も良いですよね。お金がかかると稟議書などが必要になりますが、無料のツールであれば導入もしやすいです。

そしてLINE WORKSは、「余裕が生まれるツール」であることを知ってほしいです。
毎日の業務に追われて利用者さんと接する時間が減ってしまうと、何か頼まれても気持ちよく対応できないことがあると思います。
でも余裕があれば積極的に支援ができますし、仕事も楽しくなると思います。
LINE WORKSを使うことで、伝言メモに書いている時間、連絡先を調べる時間、資料を探す見る時間など、ちょっとした作業時間を短縮でき、やりたい仕事ができるようになると思います。

ーLINEではなくLINE WORKSを使うメリットはなんですか?

LINE WORKSであればプライベートと仕事と分けることができますし、個人情報の取り扱いを管理できる点でもオススメです。
こういったツールはまず使ってみないとその良さが分からないと思います。まずはぜひ一度、触ってみて欲しいですね。

ー導入時の注意点はありますか?

ICTツールを導入しても活用の仕方が分からなくて、入れただけで終わってしまうことがよくあると思います。
そこを解決するためには、まずは使用者が業務改善を「実感できる」簡単な目標を決めることが大切だと思います。
ケアマネでLINE WORKSを使う場合は、はじめに伝言メモをチャットに変えるだけでも、紙の伝言メモがなくなったという達成感がみんなで味わえます。
そういった小さな積み重ねが大切だと思います。全部を使わなくてはいけないと思わず、少しずつ始めるのがいいですね。

ー使用者が業務改善を「実感できる」簡単な目標を決めることというのはとても良いですね。

LINE WORKSの導入初期は、管理者だけが試してみるのも有効だと思います。
現場の中でできる人がやってその人が周囲に伝える。その方には負担かもしれませんが、トータルでみんなが楽になれればいいですよね。
一人が使い方を覚えて事業所内で広め、ゆくゆくは地域で広まってほしいと思います。

ーもちろん全員ができることが最終ゴールではありますが。ですが、最初からそこを目指すのではなく、できる人がやってみんなに伝え、周りが自然に後から追いかけてくるようなスタンスはありですね。

そうなんです。1つずつ段階を踏んで始めるのがいいと思います。
みんなが使える環境を整えてからスタートすれば、LINE WORKSは普及していくのではないかと思います。
分からないことがあれば、管理者だけで抱え込まず、ぜひ「タダスク」、「タダサポ」に来てください。

ータダカヨのサービスを活用しながら、LINE WORKSを導入するのがベストですね!今日はたくさん有益な情報をお聞かせくださり、ありがとうございました。

ICT導入で介護の質も向上!

LINE WORKSを使える人をもっと増やしたい」と語る山本さん。ICT導入の効果は生産性が向上することで、介護の質も向上するという点があります。
まずは無料でスタートできる「LINE WORKSを活用してみてはいかがでしょうか。

●NPO法人タダカヨの山本さんも登壇する介護従事者向けオンラインイベント「介護の新常識 学びウィーク」のお申し込みはこちら

ABOUT ME
鎌上織愛
オフィス鎌上主宰。取材ライター兼キャリアカウンセラーとして、福祉業界の求人広告やインタビュー記事のライティング、学生や女性を中心とした就活支援に従事。専門学校生や転職希望者向け就活講座やライティングに関する講座にも登壇し、講師としても活動する。 またこれまでの経験を活かし、福祉業界やスタートアップベンチャーに特化したフリーリクルーターとして、企業や団体の採用支援を行っている。