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【解説】科学的介護情報システムLIFEの登録方法

2021年度の介護報酬改定で話題となっている科学的介護推進体制加算。

こちらの加算の取得には、厚生労働省の提供する科学的介護情報システムLIFEの利用が必須となります。

本記事ではLIFEの利用方法について解説します。

この記事はこれからLIFEの利用を検討している方向けです。

すでにご利用中で不明点がある方は、目次の「LIFE利用の注意点」をクリックしてください。

科学的介護情報システムLIFEとは?

一言でまとめると厚労省の提唱する、科学的介護を実践するためのデータベースです。

LIFEへアセスメントの情報を登録すると、全国から提供されたデータと比較されたフィードバックが返ってきます。

こちらのフィードバックを元にケアを行うことで、ケアの質が向上されるという流れになります。

詳細は厚労省から発表されたこちらの資料をご確認ください。

LIFE利用までの3ステップ

LIFEの利用には、以下の3つの工程が必要となります。

  1. 利用申請
  2. 利用者・スタッフ登録
  3. アセスメント情報登録

利用申請

まずは事業所でLIFEを使うために、厚労省へ申請を行いましょう。

申請・利用は無料で、利用開始までには時間がかかります。

なので加算の取得を検討していない方でも、利用申請しておくことを推奨いたします。

こちらのページに事業所番号を入力すると、使用開始に必要なIDとパスワードが記載されたハガキが届きます。

ハガキを元に初期設定を行いますが、こちらは非常にシンプルだと感じました。

利用者・スタッフ登録

ハガキが届けば、まずはLIFEへの利用者登録が必要です。

LIFEの利用には2種類の権限が付与されており、利用者とスタッフの登録ができるのは「管理ユーザー」です。

※出展:LIFE導入手順書

 

詳細は後述しますが、LIFE自体には個人情報が保存されず、ブラウザに保存される仕様になっています。

可能であれば、利用者登録とアセスメント情報の登録は同じパソコン・ブラウザから行う方が管理しやすいです。

利用者登録には保険者番号などが必要になるため、介護ソフトから連携できると登録作業はかんたんです。

アセスメント情報登録

LIFEへ登録した利用者のアセスメント情報を入力することで、一定期間後にケアのフィードバックが返ってきます。

厚労省によるとこちらは現在開発中ですので、イメージ図をご参照ください。

※出展:個別化された自立支援・科学的介護の推進例

 

LIFEへアセスメント情報を登録できるのは、「操作職員」の権限が付与されたユーザーです。

もし自分が管理ユーザーと操作ユーザーの両方の権限を持っていても、毎回ログインとログアウトが必要になるのでご注意ください。

介護ソフトからのデータ連携、LIFEへの直接入力の2通りの方法で入力できます。

こちらの情報提供の量が非常に多いため、登録の作業時間を確保しなければなりません。

LIFE利用の注意点

LIFEはまだ開発段階のため、利用にあたって注意することがいくつかあります。

個人情報は同じパソコンからしか参照できない

LIFEは一般的なWebアプリとは違った、特殊な仕様で構成されています。

個人情報はLIFEには保存されず、ブラウザに保存されてしまいます。

つまりLIFEでデータを確認する際、別のパソコンから見たら利用者名などが表示されず、保険者番号しか表示されません。

データの連携も可能ですが、手間がかかってしまう上に難しいです。

基本的にLIFEは複数人でデータを共有する仕様になっていません。

ですのでLIFEを使うパソコン・ブラウザを決めておく方がスムーズに利用できます。

 

また、推奨ブラウザはInternet Explorer11、もしくはMicrosoft Edgeとなっています。

Internet Explorer11は2022年6月に、提供元のMicrosoftからのサポートがほぼ終了することが発表されています。

今後も継続して利用することを考えると、Microsoft Edgeから利用する方がよさそうです。

基本的にどちらか一方のブラウザで利用すると、あとから変更は非常に難しいので、注意が必要です。

Windowsの仮想デスクトップアプリのParallelsをインストールするとMacから利用することもできます。(年額約9,000円かかるので、よほどの理由がない限り非推奨)

介護ソフトの利用は必須ではない

LIFEへのデータ提出にあたり、主な手法は2つです。

  1. 介護ソフトを使ってデータ連携する
  2. LIFEへ直接データを入力する

LIFEへ直接データを入力すれば、完全に無料で利用できます。

ただし、身長や体重など重複項目のデータ連携がされていないため、複数回入力が必要な項目もあります。

数自体が多くなく、介護ソフトを利用する場合でも大量のデータ入力はどのみち必要になります。

LIFEへのデータ連携のために新しく介護ソフトを購入する必要はないので、費用対効果を見極めた上で導入しましょう。

すでに利用中の介護ソフトが無料でLIFEへのデータ連携に対応している場合は、ぜひともご活用いただくのがよいと思います。

介護ソフトを利用してデータ連携する場合、CSV取り込み時のエラー原因が特定しづらいというデメリットもあります。

介護ソフトを提供するベンダーのサポート体制も確認しておきましょう。

サポートデスクの返答がイマイチ

サポートデスクへ質問しても回答に時間がかかります。

質問内容にもよりますが、少なくとも1〜3日は返答までに時間がかかります。

回答に関しても1回目は参考資料が送られてきて、それでも解決しない場合は再質問してくださいという流れになります。

ネット上の情報ではもっとかかった方もいるようですので、即時回答が欲しい場合は詳しい方や実践者に聞いてみるのが早そうです。

参考までに役立ちそうなコミュニティを紹介しておきます。

介護データベース LIFE 情報交換グループ

介護にもITにも詳しい方が運営・参加されています。

質問も多く、参考にできる情報が多いですし、Facebookにさえ登録していればかんたんに参加できます。

福祉の現場ICT活用協議会 会員サイト

本サイトの運営者である福祉の現場ICT活用協議会の会員サイトです。

全国のICT活用に先進的な福祉事業者が集まっているサイトで、その他の製品の質問も活発です。

福祉事業者であれば無料で登録できますので、ぜひご活用ください。

まとめ

LIFEの利用は無料、そして利用開始までに時間がかかるため、とりあえず利用申請だけはしておきましょう。

利用にあたって分からないことがあれば、ヘルプデスクだけでなくコミュニティを活用することが重要となってきます。

ぜひとも横のつながりで解決する方法もご活用ください。

ABOUT ME
岡部 拓哉
福祉の現場ICT活用協議会 理事 全国各地に点在する福祉事業所の情報格差を無くしたいと思い、協議会を発足する。 オンラインのカンファレンスや展示会を通して、福祉業界へICTについての情報を継続的に提供している。意外と理解されていないICTという言葉の定義や、すぐに実践できるツールなどの紹介をします。 ケアコラボのマーケティングマネージャーを経験し、現在は株式会社グロースハックラボの代表取締役。